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OOHは商品を高級に感じやすい? JCDecauxの調査事例をご紹介

近年、あらゆるメディアの効果のデータ化・可視化が進み、インプレッションやリーチをベースにあらゆるメディアの効果を比較することができるようになりつつある。
そうした中、さまざまなメディアの1インプレッションについて、それがもたらす印象や効果、つまるところその「価値」は果たして同じなのだろうか?と疑問に思った人は少なからずいるだろう。
例えば自宅で寝ころびながら見るスマホのバナー広告と、騒がしい街中で見る屋外広告では、同じ商品の広告でも受け取られ方やその印象は異なるはずだ。
そんな疑問に対して、JCDecauxの調査結果がひとつの答えを投げかけている。

調査は世界10か国の人を対象に実施した、OOHでは馴染みのあるラグジュアリー商品広告に関するものだ。
架空の時計ブランドの広告デザインをTV、雑誌、空港、バス停広告、オンライン広告の5種類のメディアの画像で提示し、その広告の商品の価格がいくらと思うかを選択してもらうものだ。
バイアスに配慮し、1人につき1媒体のみを聴取している。
この調査の興味深い点は、商品の「価格」という指標で広告の印象の差を図ろうと試みている点だ。
こうした媒体を比較する目的の調査では好意度や印象を聴取することも多いが、それは個人の感覚の差や文化の差が現れやすい。
各国共通認識として存在するお金、その「価格」を用いることでグローバルでの調査が実現し、結果も比較することが可能となる。

下記の広告商品について、およそいくらだと思いますか?
230ユーロ以下/230-700ユーロ/700-1150ユーロ/1150-1700ユーロ/1700-2300ユーロ/2300ユーロ以上
調査呈示画像

結果は、国別で差はあれど全体平均では空港メディアが+13%と最も高く、次点はバス停広告となった。
空港やバス停広告でこうしたラグジュアリー商品の広告を見ると、より上質に見え、高額な印象を受けるというわけだ。

すべての国の結果をスコア化し、メディア別で比較してみると、空港が最も高く、次いでバス停広告、雑誌、バナー広告、TV(静止画呈示)となった。

空港やバス停広告などのOOHは、景観と合わせて視認者の視界に入り込んでくるため、周りの環境の影響を受けやすい。
特に空港はこれから海外旅行に行く人も多く、気分が高揚するシチュエーションかつ免税店など立ち並ぶプレミアムな空間でラグジュアリー商品の広告に親和性を感じ、相乗効果が生まれるのは納得感があるだろう。
また、次点のバス停広告については、出かけた先の洗練された街中の目線上でみる大きなブランドポスターは、商品の世界観を十分に体感させるのだろう。

さらに、結果を18-34歳の若年層に限って見ると、今度はバス停広告が+12%と最も高くなる。
若年層にとっては空港よりバス停広告のほうがイメージしやすいシチュエーションなのかもしれない。

メディア別比較(18-34歳のみ)はバス停広告が最も高く、次いで空港、オンライン、雑誌、TV(静止画呈示)となった。

前述のとおり、OOHは環境の影響を受けやすいため、そのシチュエーションと広告の内容がマッチしていることが重要になってくる。
今回の調査では特にラグジュアリー商品とOOHの親和性が見られた結果だろう。しかし別の商品カテゴリーにおいても、訴求内容にマッチする環境を選べば、今回の調査結果のようにその効果を十二分に発揮できるポテンシャルがあるはずだ。つまり、1インプレッションの「価値」を高めることができる。

本調査はあくまで簡易的な1調査にすぎず、日本では異なる結果になるかもしれない。
しかしながら、メディアによって広告商品の「価値」の伝わり方に違いがあることが見て取れたのではないだろうか。
データ可視化や効率化が非常に重要なミッションである一方、OOHならではの1インプレッションの「価値」を深堀りし、視認者の心の変化にも今後着目していきたい。

資料参考元:JCDecaux One World
<調査詳細>
手法:インターネット調査、実査時期:2023年5月、サンプル:18-64歳、5,000人(オーストラリア、ブラジル、中国、フランス、ドイツ、シンガポール、韓国、UAE、イギリス、アメリカの計10ヵ国より各500名)1人につき1媒体のみ聴取

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