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インターネットや街にはさまざまなメディアがあり、時には別のメディアで同じ会社の広告を見かけることがあります。複数のメディアを組み合わせながら訴求する手法は「クロスメディア戦略」と呼ばれており、近年導入率が高まりました。
本記事では、クロスメディアとメディアミックスの違いをわかりやすく解説します。また、それぞれのメリット・デメリットや成功事例も紹介するのでご参考ください。
クロスメディアとメディアミックスの概要
まずは、クロスメディアとメディアミックスの概要を解説します。それぞれの違いを理解しておくことで目的に合わせてメディアを活用しやすくなります。
・クロスメディアとは
クロスメディアとは、複数の表現媒体(メディア)を組み合わせて訴求する広告手法です。
代表的な例として、テレビCMの最後に「続きはWebで!」と呼びかけ、CM視聴者をHPに誘導する手法が挙げられます。その他、「詳細は明日の折り込み広告で」と新聞に誘導する手法のクロスメディアの一例です。
・メディアミックスとは
メディアミックスとは、複数の表現媒体(メディア)に広告を掲載する手法です。
テレビCM・新聞広告・Web広告・看板やバス停などの屋外広告などを複数使う手法であり、幅広い層にリーチできるのが強みです。広告を目にする回数も多くなるため「よく見かけるから人気のある商品なのかも」「CMで有名なあの会社だ」という印象を与えやすく、認知度や露出を上げられます。
・それぞれの違い
クロスメディアとメディアミックスは複数の表現媒体(メディア)を使うという点では同一ですが、「メディア同士を組み合わせているか」という点に違いがあります。
クロスメディアは、ひとつのメディアから別のメディアへ消費者を移動させるのが特徴です。CMを見た人がWebを見て資料請求する、CMを見た人が新聞広告を見て申し込む…など具体的なアクションを訴求できます。
一方、メディアミックスは不特定多数に対する認知度向上を目的としているため、メディアからメディアへの移動を訴求することはありません。あちこちに広告を出すのがメディアミックス、広告数の大小を問わずメディア間の移動を求めるのがクロスメディア、と理解しておきましょう。
クロスメディアのメリット・デメリット
ここからは、クロスメディアとメディアミックスそれぞれのメリット・デメリットを解説します。まずはクロスメディアからチェックしてみましょう。
・クロスメディアのメリット
クロスメディアのメリットは、以下の通りです。
- 購買意欲の高い見込み客を獲得できる
- メディア同士で情報を補完する効果が期待できる
- 自社にとって使いやすいメディアに誘導できる
クロスメディアでは、広告を見たユーザーに対して別メディアの閲覧を促すなど、具体的なアクションを訴求します。一見するとコンバージョンまでの手間を感じる手法ですが、複数のメディアを経由してきたユーザーは購買意欲が高いケースが多く、最終的な購買につながる見込み客を獲得できるのが強みです。
テレビCMだけでは伝えられないボリュームのある内容をWebで伝えられるなど情報補完をする効果がある他、自社にとって使いやすいメディアに誘導する効果も発揮します。
・クロスメディアのデメリット
クロスメディアのデメリットは、以下の通りです。
- 運用の手間がかかる
- コンテンツ制作費用がかかる
クロスメディアの場合、複数の媒体に同じコンテンツを使っているだけではあまり効果が得られません。「CMの続きが見られるようなWebサイト」「気になったことを補完できるWebサイト」など、遷移先のメディアに+αの価値を持たせておく必要があります。
そのためメディアごとにバラバラなコンテンツを設置する必要があり、運用の手間がかかること、コンテンツ制作費用が膨らみやすいことがデメリットです。
メディアミックスのメリット・デメリット
次に、メディアミックスのメリット・デメリットを解説します。
・メディアミックスのメリット
メディアミックスのメリットは、以下の通りです。
- 幅広いターゲットに訴求できる
- 広告への接触回数を増やせる
- 不特定多数に対する認知度向上に最適
メディアミックスはありとあらゆるメディアに広告を出稿するため、幅広いターゲットに訴求できるのが強みです。「SNSを見ない高齢者でも屋外広告は見てくれる」「新聞を購読していない世帯でも動画投稿サイト上のCMなら見てくれる」など属性ごとの特徴があるため、とにかく認知度を向上させたいときにおすすめです。
広告への接触回数も増やせるので、安心・信頼を感じさせやすいのもメリットとなっています。
・メディアミックスのデメリット
メディアミックスのデメリットは、以下の通りです。
- 多額の広告予算がないと効果が見込めない
- 画一的なアプローチになりやすい
複数のメディアに多数の広告を出稿するのがメディアミックスのやり方であり、多額の広告予算がないと中途半端に終わってしまいます。限られた予算では効果が見込みにくいこと、Web広告なども含める場合は予算管理が難しいことも難点です。
また、ひとつの広告で完結させる従来の手法になるため画一的なアプローチになりやすく、広告内で言えること以上のコンテンツを伝えるのが難しくなります。広告+αの要素を伝えたいのであれば、クロスメディアの方が向いているでしょう。
クロスメディアを成功させる6ステップ
クロスメディアを成功させるまでのステップは、以下の通りです。
- 自社および商品・サービスに関する分析をする
- 市場およびターゲットに関する分析をする
- カスタマージャーニーマップを作成する
- クロスメディア施策を考案する
- KPIを設定する
- 施策の実行・効果測定・改善を繰り返す
まずは自社および商品・サービス、市場・ターゲットに関する分析を徹底しましょう。自社の強み・弱みや社会情勢・同業他社の動向・市場トレンドなどを学習しておくと、自社が置かれている環境を客観的に見られるようになります。
その後はユーザーが購買に至るまでのアクションを可視化した「カスタマージャーニーマップ」を作成し、その段階で広告を入れるかシミュレーションしながらクロスメディア戦略を策定します。この際、明確な数値目標としてKPIを設定しておけば後日の効果測定がやりやすくなり、PDCAを回しながら次の施策や改善方法を考案しやすくなるのがポイント。「施策を実行しっぱなし」「クロスメディアの実行が目的にすり替わってしまった」ということのないよう、定量的な効果測定が不可欠です。
クロスメディアの成功事例5選
最後に、クロスメディアの成功事例を紹介します。各社どんなクロスメディア戦略を導入したのかチェックし、自社施策の参考になりそうなポイントを探っていきましょう。
・QRコード決済「PayPay」
QRコード決済「PayPay」は、主にテレビCMやYouTube広告など動画主体のメディアを活用したクロスメディア戦略を実施しました。有名芸能人とテンポのよい音楽・ダンスを組み合わせた動画広告を大量に出稿する他、YouTuberやインスタグラマーとのコラボレーション広告も多数展開しています。
その他、他社IP(キャラクター)とのコラボレーション広告にも積極的に取り組むなど、社外を巻き込んだクロスメディア戦略にしたのもポイント。結果、SNS上で「お得に使える」「キャッシュレスって便利」という口コミを広げることとなり、飛躍的に導入件数を伸ばしました。
・リアル謎解きゲーム「地下謎」
東京メトロが主催したリアル謎解きゲーム「地下謎」シリーズは、開催する度にSNS上で大きな反響を生むアトラクションとして成長しています。もともとは東京メトロ駅構内のポスターやWebサイト上での訴求がメインでしたが、体験済みユーザーによる口コミ投稿や評判が話題となり、Webサイトへの流入を強めるようになりました。
Web上で申し込みをしてから始めるゲームという性質も合わさり、Webへの呼びかけがうまくいった事例でもあります。「どういうゲーム?」「どうやって始めるの?」というユーザーの疑問を、Webを使うことで解消できたのがポイントと言えるでしょう。
・大手家電メーカー「SHARP」
大手家電メーカーの「SHARP」は、X(旧Twitter)を活用したクロスメディア戦略を実施しています。いわゆる「中の人(アカウントの管理人・運用人)」による等身大の投稿やSNS上での他社交流が話題となり、フォロワーの友人・知人のようなポジションを確立しました。
結果、広告・宣伝を目的とした投稿から「広告らしさ」がなくなり、自社サイトやECサイトへのアクセス数が伸びています。企業公式アカウントと同じ目線でやり取りする楽しさを実感させ、かつSNSおよび公式サイトをうまくクロスメディアするハードルを下げられた事例となっています。
・スキンケアブランド「ドモホルンリンクル」
スキンケアブランド「ドモホルンリンクル」では、主にテレビCMと新聞広告を利用したクロスメディア戦略を実施しています。CMや広告ではスキンケア用品に含まれている詳しい美容成分や使い方については一切触れず、「年齢肌が気になった人へ」というターゲット像だけを強くアピールするに留めました。
結果、そのターゲットイメージに合うユーザーの強い興味・関心を惹き、自社サイトからのサンプル申し込みにつなげられています。自社サイト上では成分や効果についても詳しく記載されているので、メディアを組み合わせて相乗効果を狙うクロスメディアの成功事例として注目されています。
まとめ
クロスメディアとメディアミックスは複数のメディアを使うという点で似ていますが、「メディアとメディアをかけ合わせるか」という点で異なります。近年はインターネットを使った情報検索が当たり前になり、消費者ニーズの変化やトレンドの変遷も激しくなっているからこそ、複数のメディアを組み合わせた複合的な広告戦略が欠かせません。
なかには屋外広告とWeb広告(またはWebコンテンツ)を組み合わせて相乗効果を狙うクロスメディア戦略も存在します。費用対効果の高い戦略にするためにも、メディアとメディアを組み合わせた施策を考案してみてはいかがでしょうか。